企業インタビュー#6 〜株式会社鈴木工務店〜
こんにちは。びんごデジタルラボ事務局です。
インタビュー第6弾は,「株式会社鈴木工務店」様です。
企業 Profile | |
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企業名 | 株式会社鈴木工務店 |
本社所在地 | 〒720-8508 広島県福山市丸之内1丁目4番1号 |
業務内容 | ・総合建設業 |
企業ホームページ | https://www.suzuki-komuten.co.jp/ |
今回もインタビュー第5弾に引き続き,福山市様とのコラボレーション企画となります。福山市デジタル化推進課様が,今年度より始められた「デジタル企業現地見学会」の現地見学会の様子をお届けします。
この「デジタル企業現地見学会」は,中小企業のデジタル活用を促進するため,身近な企業のデジタル活用の取り組みを知ることができる企画になっております。
2023年度(令和5年度)は全4回の開催が予定されており,鈴木工務店様で開催された「第3回デジタル技術を活用している企業の見学会」に,多数の企業様と一緒に参加してきました。
本記事では,創業100年を超える鈴木工務店様が進めているデジタル化のポイントについて紹介していきます。
この記事でわかること |
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今回の現地見学会は,下記のような2部構成となっていました。
- 第1部は,代表取締役CEO鈴木章平さんや社員による建設業に特化したデジタルツール(『BIM(※1)』や『ANDPAD(※2)』)の導入経緯や導入効果についてデモを交えた紹介
- 第2部は,坂本明菜税理士事務所 代表税理士 坂本明菜様によるデジタル化を進めた経緯とデジタル化を進めるためのポイントの紹介
- ※1:Building Information Modeling(ビルディング インフォメーション モデリング)の略称で,コンピューター上に作成した3次元の建物のデジタルモデルに,コストや仕上げ,管理情報などの属性データを追加した建築物のデータベースを,建築の設計・施工から維持管理までのあらゆる工程で情報活用を行うやめのソリューション
- ※2:施工管理から,顧客管理,営業管理,原価管理まで,現場と経営に必要な情報を一元管理ができ,現場作業の効率化だけでなく,経営指標をリアルタイムに見える化し,事業成長を支えるクラウド型建設プロジェクト管理サービス
鈴木代表CEOや社員の方々,坂本様のご説明で,創業100年を超える鈴木工務店様が考えるこだわりの建物づくりにもデジタル技術を活用されながら,1つのツール導入で終わりでなく,日々進化させていく,アップデートを止めない,時代の進歩に応じて対応することの重要性が伝わってきました。本記事では,建設業以外のどの業種の方でも参考になる部分を厳選してお届けします。
デジタル化を進めるための3つのポイント
デジタル化を進めていく上で大切なポイントはなんでしょうか?トップダウンで進めること?それとも安くていいサービスを導入することでしょうか?
検索サイトで「デジタル化を進めるポイント」と検索するだけでも,1億件近くヒットし様々な回答が溢れており,共通解がない問いであることがわかります。
鈴木工務店様はこの「デジタル化を進めるポイント」という難題に対し,3つの回答を提示してくださいました。
鈴木工務店様のデジタル化を 進めるための3つのポイント |
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ポイント① |
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ポイント② |
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ポイント③ |
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この3つのポイントを踏まえながら鈴木工務店様のデジタル化への取り組みについて紹介していきます。
最初は会計ソフトから
まずは,1つ目のポイントです。
鈴木工務店様のデジタル化は,「会計ソフト」の導入から始まったそうです。鈴木工務店様の多岐に渡る業務の中でも「会計/原価管理」は,40年以上続くシステムを継続して使用されていました。
40年も使っていると「システムそのものに慣れている」というメリットもあったそうですが,「消費税に対応していない」「紙保管が毎月200枚位必要」「専用の用紙が必要」「システム提供企業への依存」といったデメリットが際立つ様になったそうです。
鈴木代表CEOは多岐に渡る業務の中から経営目線で「会計/原価管理」の可視化に着目し,上記のデメリットを解決することができるクラウド会計ソフト『freee(※3)』を導入されました。
- ※3:クラウド上で動作するオールインワンの会計ソフトウェア。主に中小企業や個人事業主向けに開発されており,簡単な操作性と多機能性が特長
画像:写真左が鈴木代表CEO
もちろんあった社員の抵抗感
続いて,2つ目のポイントです。
過去のインタビュー記事の中でも,新しいデジタルツールを導入することによる「社員の抵抗感」について触れてきましたが,鈴木工務店様も例外なく新しいデジタルツールを導入する際の「社員の抵抗感」があったそうです。
鈴木代表CEOは「デジタル化によってすぐに効果がでるものではない」点を認識されており,システムに必ず触れる環境を整える,苦手な人はみんなでサポートする体制を構築するといった「社員の抵抗感」をなくすための取り組みを進められたそうです。
その結果,会計ソフト『freee』を使うことは当たり前の業務となり,「業務スピードUP」「ペーパーレス(経費削減)」といった効果に繋がったそうです。
また,一度「抵抗感」をなくしたことで新しい次のツールの導入がしやすくなり,「『freee』と『kintone(※4)』を連携させると楽になるのではないか?」といった更なる改善の声が,社員から上がる様になるなど正のスパイラルを生み出すことに成功していったそうです。
- ※4:クラウド上で動作するビジネス向けのプラットフォーム。主に業務プロセスの改善やデータベースの構築,ワークフローの自動化などが可能
自社の業務にあわせたツールを
最後に,3つ目のポイントになります。
「会計/原価管理」からはじまったデジタル化は,「勤怠管理」「給与計算」といった別の業務まで広がっていったそうです。
デジタル化の幅が広がるにつれて,『kintone』『ANDPAD』といったクラウドサービスも順次,導入・活用できたそうです。
社員によるクラウドサービスのデモ実演を通じて参加者のクラウドサービスへの期待値が高まる中,鈴木代表CEOより「(クラウドサービスは)自社の業務にあわせたツールを選ぶ必要がある」といったご助言をいただきました。
自社開発ではない『freee』『kintone』といったクラウドサービスは,パッケージソフト(※5)となるので業務にあわない場合もあります。パッケージにあわせて自社の業務を変えるのか,自社の業務にあわせてパッケージをカスタマイズしていくのか。まずは自社の業務とサービスを理解することが大切であると述べられていました。
- ※5:ここでは自社向けにオリジナルで作成されていないソフトを指す
画像:サービス画面を説明する鈴木代表CEO(写真中央)
デジタル化だけでなく環境改善も
鈴木代表CEOはデジタル化を進める上での3つのポイントに加え,環境改善の大切さについても語られました。
「デジタル化が進んでも働く環境が変わらないと効果を発揮できない」と考えた鈴木代表CEOは,社内環境改善にも同時に力を入れられたそうです。
社員が働きやすいカフェの様な空間であったり,インスピレーションを誘発するような家具,社員同士のコミュニケーションを活性化させる『社長の奢り自販機(※6)』をはじめとした様々な環境改善は,デジタル化とあわせることで社員の発想力向上や社員の一体感に繋がっていったそうです。
- ※6:2人で社員証を自動販売機にタッチすると飲み物がタダになる福利厚生サービス
最後に参加者からの質疑応答があり,約1時間にも及ぶ見学会は終了しました。
画像:まるでキャンプ場で仕事をしている気分になれる空間
画像:デザインの参考になる本が並ぶ本棚
インタビュー記者の感想 |
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デジタル化を進めるための3つのポイントに加え,環境改善の大切さを学ぶことができました。貴重な体験の場を用意していただきありがとうございました。 |
取材者:びんごデジタルラボ事務局