企業インタビュー#14 ~福山電業株式会社~

こんにちは。びんごデジタルラボ事務局です。

インタビュー第14弾は,福山市で電気設備事業を営み,まちづくり事業として飲食店やワークスペース,ものづくり工房などの機能を備えたパブリックスペース「iti SETOUCHI」を運営する「福山電業株式会社」様です。

企業 Profile
企業名 福山電業株式会社
本社所在地 〒720-0808 広島県福山市昭和町6番1号
業務内容 ・電気設備事業,まちづくり事業
企業ホームページ https://tovio.com/

福山電業株式会社様は,建設業としての「働きやすさ」「働きがい」を向上させる様々な取り組みを実施し,その中でデジタル技術を活用した改善に取り組まれています。

今回インタビューに応じてくださったのは,代表取締役社長の島田 宗輔 様です。

この記事でわかること
  1. 業務改善の真の目的は,「働きやすさ」「働きがい」の向上
  2. 課題に気付くためのヒントは「業界の当たり前を見直す」ことから始めてみること

デジタル化はハードとソフトの両面で

早速ですが御社の取り組みについて教えてください

島田様:弊社は電気設備工事業を営む建設業となります。誤解を恐れずに言うと,建設業と言えば「職人気質で働き方改革が遅れている」,「若い人が集まらない・定着しない」と思われがちな業種です。こうしたイメージを持たれがちな建設業の中で,弊社は企業活動の様々な分野で業務改善や効率化を進めることで「働きやすさ」「働きがい」の向上に取り組み続けています。

具体的にはどのような取り組みをされていらっしゃるのでしょうか?

島田様:デジタル技術の視点からであれば,ハード・ソフトの両面で取り組んでいます。
まずハード面では,弊社は工事関係スタッフにiPadを貸与しています。iPadがあればデータをタブレット上で確認することができますし、複数人での共有が可能となります。ちょっとした打ち合わせではiPadで資料を確認できるのでペーパーレスにも繋がっています。

次にソフト面では,建築・建設業に特化したアプリであるANDPAD(※1)を始め,社内コミュニケーションツールとしてはLINE WORKS,外部企業とのコミュニケーションツールではSlack(※2),社内の資料共有ではGoogle Workspaceなど,それぞれ目的に合わせたツールを活用しております。

  1. ※1:施工管理から,顧客管理,営業管理,原価管理まで,現場と経営に必要な情報を一元管理ができ,現場作業の効率化だけでなく,経営指標をリアルタイムに見える化し,事業成長を支えるクラウド型建設プロジェクト管理サービス
  2. ※2:ビジネスユース向けに開発されたコミュニケーションツールの一つ

デジタルツールを活用した業務改善を進めたきっかけはコロナウイルスの流行も影響しているのでしょうか?

島田様:いえ,弊社はコロナウイルスが流行する以前からデジタルツールを活用した業務改善を進めていました。オンラインミーティングも以前から行っており,ある時を境に急に始めたというわけではありません。

インタビューの様子(写真左が島田社長)

画像:インタビューの様子(写真左が島田社長)

業務改善の真の目的は「働きやすさ」「働きがい」の向上

様々な取り組みを進めていらっしゃいますが,これらは島田様主導で進めてきたのでしょうか?

島田様:多くは「現場からの声」が反映された結果となっています。

トップダウンでの改善も効果があると思いますが,弊社はより現場からの声を重視しています。至極当然の話ですが,各現場で感じている課題は現場の人が一番知っています。また各現場の課題をどのように解決したいかも現場の人が一番理解しています。

そのため,弊社では現場の声により耳を傾けながら改善を進めています。

ありがとうございます。取り組みの結果,効果はどうでしたか?

島田様:残業時間の削減やペーパーレス,年休取得率向上などの「目に見える」効果は大きかったです。
こうした効果が得られることも大切ですが,弊社としてのゴールは「残業時間の削減」などその先にある「働きやすさ」「働きがい」の向上です。

「働きやすさ」と「働きがい」の向上ですか?

島田様:はい。「働きやすさ」「働きがい」の向上になります。

少し抽象的な喩えになりますが,「働きやすさ」の向上とはマイナスを0にするイメージ。「働きがい」の向上は0をプラスにしていくイメージで考えています。「働きがい」を突き詰めると「個々人の生き甲斐」などの概念寄りの話になってしまい,個々人に委ねられる部分が多々あります。

反対に「働きやすさ」であれば会社でコントロールできる余地があります。

先ほどのiPad導入を例にすると,タブレットを導入してペーパーレスを進めるという表の目的を持ちながら,タブレットによるデータ管理・共有が進むことで「情報の属人化」を減らし,休みを取りやすくする「働きやすさ」向上を狙っています。休みたいけどこの仕事は自分しか知らないってパターンはよくありますよね?

私は「働きやすさ」があって初めて個々人が「働きがい」を求めることができるようになるのではないかと考えています。

まずは業界の当たり前を見直す

なかなか現場から課題の声が上がってこない企業様もいるかと思います。課題に気が付くためのヒントがあれば教えていただけますでしょうか?

島田様:シンプルにこれまで当たり前だと思っていたことを疑ってみるところから始めて見るのはどうでしょうか。業界的に当たり前でも少し視点を変えたら「実はムダな作業だった!」ということはよくあると思います。

慣習を見直すといったところですか?

島田様:その通りです。太陽光発電事業における当たり前を見直すことによりできた事例を1つ紹介します。

写真左は通信機器同士のやり取りを視覚化する装置の「LINE EYE(※3)」

画像:写真左は通信機器同士のやり取りを視覚化する装置の「LINE EYE(※3)」,
右はネットワーク(IPアドレス変換)の監視デバイスで福山電業様がRaspberry Pi(※4)を用いて構築

  1. ※3:株式技会社ラインアイが提供する通信プロトコルアナライザー
  2. ※4:イギリスのラズベリーパイ財団によって開発されたコンピューター基盤

この小さな2つのデバイスがどのような働きをしているかを説明するには少々専門的な知識が必要になるため割愛しますが,導入によってこれまで「当たり前」のルーティン業務だった運用に関わる現地調査やメンテナンス作業の手間を大幅に削減し,太陽光発電に関わるステークホルダーへのサービス向上に寄与することができました。

このように建設業界に限らず全ての業界において,当たり前となっている慣習を見直すことで関係者にも付加価値を与え,自社の業務にもプラスになるような宝の山はまだまだたくさんあると考えています。

我々も業務の見直しをするところから始めてみようと思います。貴重なお話をありがとうございました。

インタビュー記者の感想

なぜ業務改善をするのか。その目的について考えさせていただくことができました。
また,改善のための課題を見つける方法として「業界の当たり前を見直す」ことが大切であることがわかりました。

お忙しい中インタビューにご協力いただきありがとうございました。

取材者:びんごデジタルラボ事務局